お金のことについて考えることが増えていきました。
僕の両親は都市近郊の農家で生計を立ててきました。
先祖は明治時代に開拓民として入植し、僕で5代目になると聞いています。
代々資産である土地を耕し、質素倹約につとめ、自給自足に近い生活を続けてきましたが、祖父が亡くなったところから状況が変わります。90年代半ばのことです。
国家による徴税には、所得税、法人税、相続税という課税方式があり、この相続税が課されたことにより、その後の生活設計を見直さなければならなくなりました。
祖父亡きあと、父は相続税を納付できるだけの原資、つまりキャッシュを持っていませんでした。あるのは土地だけです。そして、多くの土地を物納、売却することを余儀なくされます。
父の苦労をぼんやりと見ていた僕は、その頃からお金や税金のこと、金融や経済のことに興味を持ち始めました。
世の中の土台がどのように成り立っているのかを知らなければ、簡単に生活基盤を失ってしまうと思ったからです。
又、世間では絶対に儲かるといった投資話や詐欺に身ぐるみ剥がされたという話もよく耳にしました。
投資だけでなく、人生を変えられるといったセミナーや非科学的な怪しい勧誘にも騙されたくないと強く思い始めたのもこの頃です。
金融機関でも店舗でのおすすめ商品でもひとに勧められると胡散くささを感じます。なんでこのひとはこんなに親切に勧めるんだろうって。鵜呑みににしちゃいけないんじゃないかと。
大切なものを奪われたり、失ったりしたくはないですよね。
お金で幸福になることはできないが、不幸を避けることができる。
そんなお金について考えることが次第に増えていきました。
大切なもののひとつであるお金については幾度となく触れていきたいと思います。